プルルルル 「はい…」 『もしもし、お父さんかお母さんいるかしら』 受話器からは、やかましい女の声。 「申し訳ございませんが、 共に留守にしております」 『そう…。 ねえ、聞かないの?』 「は…」 『用件は聞かないの? 聞きたくないの? 聞かなくて良いのかしら?』 やかましい女。 云いたきゃ云えよ。 「ご用件、お伝え致しましょうか」 『そうそう。それでいいの』 背筋がぞっとした。 しまった。 『×××』 遠くから、低い低い音がした。 息が、出来なくなっていた。