「昨日、君が夢に出てきたよ」 友人はそう言って、僕から目を逸らした。 何だろうと、首を捻ってみせるとこう。 「あのね。昨日、虎に追いかけられたんだ」 虎に? ……ああ。夢の話か。 「それで、君を踏み台にして逃げたのさ」 ──それで? 「さあ。自分は無事だったけど」 確か、そいつは僕を親友と呼んでいた。